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SIGGRAPH 2018 Emerging Technologiesでのシースルー型HMD試作機のデモンストレーション展示に関するお知らせ

SIGGRAPH 2018 Emerging Technologiesでのシースルー型HMD試作機のデモンストレーション展示に関するお知らせ

ピクシーダストテクノロジーズ株式会社(本社:東京都千代田区、代表取締役:落合陽一)は、メタマテリアルミラーを用いた新たなシースルー型HMD実現方式Air MountedEyepiece及びAir Mount Retinal Projectorを開発しました。また開発した2種類の方式による試作機をSIGGRAPH 2018 Emerging Technologiesセッションにてデモンストレーション展示することをお知らせいたします。

学会概要

学会名: SIGGRAPH '18
会期 : 8/12 ~ 8/16
会場 : Vancouver Convention Centre, Vancouver, BC, Canada

研究発表の概要

演題名:Transmissive Mirror Device based Near-Eye Displays with Wide Field of View
発表者:Kazuki Otao, Yuta Itoh, Kazuki Takazawa, Hiroyuki Osone, Yoichi Ochiai

Air Mounted Eyepiece
今までのシースルー型HMDの開発には,ホログラフィック光学素子(HOE:holographic optical element)やハーフミラー,自由曲面ミラーを使用するのが主流でした。これらのHMDには,視野角を広くするのにいくつかの制限が伴います。例えばHOEの場合は原理的に視野角に上限があり,ハーフミラーの場合は視野角に伴ってミラーを大きくする必要があります。これに対して我々は,広視野角なHMDを実現するための新たな手法を提案します。具体的には,微細な鏡構造から成るTMD(Transmissive Mirror Device)を転写光学系として利用し、レンズと同じ効果を持つ光線情報を眼前に再生することで,従来の光学系に比べて視野角を損ねずにシースルー型HMDを実現しました。

演題名:Make your own Retinal Projector: Retinal Near-Eye Displays via Metamaterials
発表者:Yoichi Ochiai, Kazuki Otao, Yuta Itoh, Shouki Imai, Kazuki Takazawa, Hiroyuki Osone, Astushi Mori, Ippei Suzuki

Air Mount Retinal Projector
これまでに網膜に映像を直接表示する手法として,レーザー走査による網膜走査ディスプレイやマクスウェル光学系による網膜投影ディスプレイが提案されてきました。研究分野にとどまらず,商業分野でも網膜投影ディスプレイの開発は盛んに行われていますが,それらの手法は視野角の狭さとアイボックスの狭さに原理的な制限があります。これに対して我々は,メタマテリアルミラーを用いた新たな網膜投影手法を提案します。具体的には, TMDを転写光学系として利用し,プロジェクタと同じ効果を持つ光線情報を眼球内に再生することで,広視野角かつ広いアイボックスを伴った網膜投影を実現しました。
本方式は,近視や遠視の方にも正しい映像を表示するためのロービジョン技術に応用できるほか,小型で長時間使用していても疲労を感じにくいウェアラブルゴーグルを実現することができます。

各方式の特徴

我々はメタマテリアルミラーを光学系として採用したシースルー型HMDの研究開発を進めています。今回発表するAir Mounted Eyepiece及びAir Mount Retinal Projectorのほか,過去にLight Field Blender(http://pixiedusttech.com/004/ )を発表しています。

■Air Mounted Eyepiece
単レンズによるシンプルな構成。従来のシースルー型HMDよりも広視野角化が可能。

■Light Field Blender
眼前にlight fieldを再現することにより,表示する映像の被写界深度ボケを表現可能。レンズアレイを採用することにより光学系の簡易化および軽量化が可能。

■Air Mount Retinal Projector
網膜に直接映像を投影するため,消費電力が極めて低い。常にピントのあった映像を表示できるため長時間装着しても疲労を感じにくい。

それぞれの方式に長所および短所があり,想定される状況やコストとのトレードオフにより採用する方式を臨機応変に適用可能です。今後は,さらなる派生技術を進めるとともに小型や高精細化を進める予定です。

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© Pixie Dust Technologies, Inc.